先代からこの会社を引き継いで12年、経営者としてここまでやってきましたが、振り返るとあらゆる出来事が波乱万丈の連続でした。引き継いだ当時は倒産寸前、日々の資金繰りにもヒヤヒヤし、まさに“火の車”状態。どうにか黒字化に成功し、奇跡のV字回復を果たしたときは「ついにやった!」と心から喜びましたが、どうやら人生も経営もそこからが本番らしいんです。
浮かれたのも束の間、新規事業で始めたホテル業界への進出で逆風にさらされ、さらに、コロナの影響でホテル事業も見事に撃沈。「会社も成長しないと…」と焦った矢先、さらに詐欺被害で3回も“クリティカルヒット”。この時点で、冷静に考えるべきは自分自身の甘さだと痛感しました。もう一つの成長に向けて、ここで自分と会社の未来をもう一度見つめ直すことに。
このブログでは、成長のプロセスや迷いや葛藤、そして思わず吹き出してしまうような場面を共有し、同じように苦労する経営者仲間の方々に少しでも参考になればと願っています。
再起をかけた決意、そして新たなご縁
今日もなかなかドラマチックな一日でした。実は、二週間前に出張で訪れたインドで胃腸炎をもらってしまい、帰国後も不調が続いています。もう少し治りそうなものですが、どうやら“症状は根性”みたいな風潮が私の身体にも浸透しているようで…。しかし、そんな体調のことなど構っていられない日。なぜなら、今日は会社の未来を左右するかもしれない、大切な打ち合わせがあるのです。
会う相手は、何とあの世界的IT大手企業の経営者です。こちらは中小企業の身ですから、お呼びいただいたこと自体が不思議なくらい。「今この場を逃してしまうと、次にまたチャンスがある保証はどこにもない」と自分を奮い立たせ、万全の薬と気合で胃腸炎を封じ込めて、ふらふらしながらもオークラホテルへ向かいました。
真剣勝負の打ち合わせ:出迎えた“重み”と“覚悟”の言葉
お会いした経営者の方は、見た目からして貫禄が漂い、話し始めるとその圧倒的なオーラに飲み込まれそうな雰囲気。まずは名刺交換をし、軽い挨拶で打ち解けるかと思いきや、いきなり「中途半端な気持ちなら引き受けないでほしい」と、非常にシンプルで核心を突いた言葉が一言。ビシッと決められると、さすがに身が引き締まります。内心「いや~、ちょっと待ってください」と戸惑いもありましたが、これが大きな勝負の世界なんですよね。慣れていない中小企業の私は少々面食らいましたが、この瞬間で私の“中小企業オーラ”を払拭しなければと思い、すぐに対応策を頭の中で巡らせました。
規模もこれまでにないプロジェクトで、果たして自社の技術と経験が追いつくのか、最初は不安もありました。しかし、こんな時こそ社員の力を信じるべきだと判断し、現場のスタッフに確認をとることにしました。彼らからは「やれますよ」との力強い返事が。少々心細さを感じていたところに頼もしい一言をもらい、覚悟が決まりました。「弊社にお任せください」と伝えた瞬間、少しだけ先方の表情が和らいだのを見て、内心ホッとしました。もう後戻りはできません。ここからは全力で走り抜けるのみです。
叙々苑での会食:異業種の“次元違い”な会話に衝撃を受ける
打ち合わせが終わると、「会食でもどうですか?」と誘われ、麻布の叙々苑游玄亭へ。もはやこの体調で焼肉というのは無謀な挑戦ですが、ここで「体調が…」とは言えない日本のビジネスマナーが頭をよぎり、覚悟を決めて焼き奉行を引き受けることに。とにかくお酒と焼きに徹して“必死に仕事モード”で臨みました。
ご一緒した方々はみな一流の経営者で、場の雰囲気や話題も別世界。焼き肉を焼きつつ耳を傾けていると、ふとした会話の中で「400億円規模のプロジェクトの打ち合わせが…」なんて、サラリとした会話が飛び出します。「億」という単位が私の日常とは次元が違いすぎて、すぐにでもメモを取りたくなるほどの気分になりましたが、ひたすら冷静を装いながら話に耳を傾けました。
そんな中、隣に座っていた経営者の娘さんが「余ったお肉を持ち帰りたい」と言い出し、周りも快諾。何とパックに詰めるお手伝いをさせていただき、内心「これが真のVIP待遇か…」と感じながら会話を進めると、私もすっかりリラックス。いつしか「自分の会社もここを目指そう」という気持ちが少しずつ湧いてきました。自分に足りないのは、スケール感と前向きな姿勢。そして何より、視野を広く持つことの大切さを痛感しました。
会計は“大投資”、そして覚悟の支払い
そんなこんなで、楽しい時間も過ぎ、お会計の段に。「天下の叙々苑だし、少しは覚悟しないとな…」と思いつつ金額を見ると、まさかの18万円!一瞬思わず目が飛び出そうになりましたが、ここで動揺するのはスマートではないと自分に言い聞かせ、「良いものにはそれ相応の価値がある」と支払いを済ませました。今回の会話や経験は、金額以上の価値があったと思えば、これはむしろ“自分への大投資”だと前向きに受け止めることができました。
会食が終わり、何とか帰宅することに。さすがに自分のポンコツ電気自動車で送るわけにもいかず、帰りはタクシーを手配して皆様をお見送りしました。途中でふと、一人静かな車内に戻ると、今日一日で自分に起きたことの大きさに、しみじみとした気持ちが湧き上がってきました。この一日を通じて、自分が経営者としての視野を広げ、さらに成長するためのヒントを得られたことは何にも代えがたい収穫でした。
明日へ向けて:成長を誓い、もう一歩前へ
改めて、この一日は経営者として忘れられない経験となりました。成功と失敗が紙一重のビジネスの世界では、今日のようなご縁や出会いこそが、何にも勝る財産。やはり成長とは、視野を広げ、チャンスに飛び込むことから始まるのだと感じています。
明日からもまた、自分の目標に向かって、少しずつでも成長していきたい。会社の規模がどうであれ、まずは自分の心と視野を広げ、社員と共に目標を分かち合いながら、次のステージを目指していきます。