今日も会社はあります

社長をしています。インドで僧侶も少ししています。 会社のこと、家族のこと、病院のこと、たまに海の向こうの面倒なこと。 だいたい大変ですが、今日も会社はあります。

第14回 僕の膝より、耐震壁の方が強かった

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今日は、新宿の構造計算事務所へ行きました。

本来ならば家で寝ていた方がいい状態です。

でも仕事です。

構造です。

構造からは逃げられません。

逃げようにも、こちらは松葉杖です。

事務所は、路駐しにくい道路沿いにありました。

車を横づけ。

ドアが開く。

僕が降りる。

降りた瞬間、ドアが閉まる。

そして発進。

停車時間、約10秒。

見事な連携です。

松葉杖の社長を新宿に投下する作戦。

気分は特殊部隊。

実態は、膝を痛めた荷物です。

無事に着地しました。

ただし、本番はここからでした。

ビルにエレベーターがありません。

聞いていません。

構造計算事務所に着く前に、僕の構造が危ないです。

松葉杖で階段を上がります。

一段。

また一段。

途中から、建物の耐震性より自分の耐震性が気になってきました。

なんとか到着。

この時点で達成感は十分です。

まだ仕事は始まっていませんが。

相談は、11階建てマンションをホテルに用途変更する案件です。

マンションをホテルにする。

言うのは簡単です。

やるのは全然簡単ではありません。

ホテルにするなら部屋数を増やしたい。

部屋数を増やすなら壁をどうにかしたい。

でも壁にも種類があります。

抜ける壁。

抜けない壁。

抜こうとすると建物全体が真顔になる壁。

今回の相手は、耐震壁です。

名前からして強そうです。

耐震。

壁。

硬そうな単語が二つ並んでいます。

こちらが柔らかいのは膝くらいです。

しかも故障中です。

先生にも確認しました。

柱についている壁は基本的に抜けない。

柱についていない壁は雑壁として抜ける可能性がある。

なるほど。

分かった顔はしました。

不動産もやっています。

建築業界にも長くいます。

図面も見ます。

現場も見ます。

それでも構造の世界は別腹です。

壁なのにそんなに種類があるのか。

全部壁じゃないのか。

もちろん先生の前では言いません。

一応、建築屋なので。

ここは黙って、深くうなずきます。

知識ではなく、うなずきだけ深く。

開口を作る案も出ました。

全部抜くのは難しい。

でも1メートルくらいなら可能性はある。

ただ、梁下まで全部抜くと耐震壁として認められない可能性がある。

穴は開けてもいい。

でも壁だった過去は忘れないでほしい。

そんな世界です。

繊細です。

壁なのに。

客室計画も悩ましいです。

1フロア6室を8室に増やしたい。

目標は約90室。

部屋数は欲しい。

売上も欲しい。

工事費は抑えたい。

人間なので全部欲しい。

ただ、部屋幅2.2メートルは狭い。

ホテルというより上品な押し入れです。

泊まるというより収納されます。

「ご宿泊」ではなく「ご収納」です。

2.5メートルくらいで再検討です。

窓も大事です。

窓のない客室は厳しい。

採光。

避難。

そして気分。

ホテルで窓がないと、かなり修行です。

今日の僕は階段で修行を済ませました。

エレベーターも課題です。

広げようとすると、昇降路、壁、スラブ。

また構造です。

逃げても構造。

戻っても構造。

こちらは松葉杖。

勝率は高くありません。

案件は簡単ではありません。

でも可能性はあります。

抜ける壁を見極める。

開口は慎重に。

行政、消防、保健所も確認する。

客室数で欲張りすぎない。

つまり、建物にも行政にも膝にも無理をさせないことです。

帰りは麻辣湯が食べたくなりました。

体は松葉杖。

頭は耐震壁。

胃袋は麻辣湯。

会社としては、あまり統一感がありません。

でも仕事は少し進みました。

たぶん。

今日も会社はあります。

また書きます。たぶん。