
今日は、新宿の構造計算事務所へ行きました。
本来ならば家で寝ていた方がいい状態です。
でも仕事です。
構造です。
構造からは逃げられません。
逃げようにも、こちらは松葉杖です。
事務所は、路駐しにくい道路沿いにありました。
車を横づけ。
ドアが開く。
僕が降りる。
降りた瞬間、ドアが閉まる。
そして発進。
停車時間、約10秒。
見事な連携です。
松葉杖の社長を新宿に投下する作戦。
気分は特殊部隊。
実態は、膝を痛めた荷物です。
無事に着地しました。
ただし、本番はここからでした。
ビルにエレベーターがありません。
聞いていません。
構造計算事務所に着く前に、僕の構造が危ないです。
松葉杖で階段を上がります。
一段。
また一段。
途中から、建物の耐震性より自分の耐震性が気になってきました。
なんとか到着。
この時点で達成感は十分です。
まだ仕事は始まっていませんが。
相談は、11階建てマンションをホテルに用途変更する案件です。
マンションをホテルにする。
言うのは簡単です。
やるのは全然簡単ではありません。
ホテルにするなら部屋数を増やしたい。
部屋数を増やすなら壁をどうにかしたい。
でも壁にも種類があります。
抜ける壁。
抜けない壁。
抜こうとすると建物全体が真顔になる壁。
今回の相手は、耐震壁です。
名前からして強そうです。
耐震。
壁。
硬そうな単語が二つ並んでいます。
こちらが柔らかいのは膝くらいです。
しかも故障中です。
先生にも確認しました。
柱についている壁は基本的に抜けない。
柱についていない壁は雑壁として抜ける可能性がある。
なるほど。
分かった顔はしました。
不動産もやっています。
建築業界にも長くいます。
図面も見ます。
現場も見ます。
それでも構造の世界は別腹です。
壁なのにそんなに種類があるのか。
全部壁じゃないのか。
もちろん先生の前では言いません。
一応、建築屋なので。
ここは黙って、深くうなずきます。
知識ではなく、うなずきだけ深く。
開口を作る案も出ました。
全部抜くのは難しい。
でも1メートルくらいなら可能性はある。
ただ、梁下まで全部抜くと耐震壁として認められない可能性がある。
穴は開けてもいい。
でも壁だった過去は忘れないでほしい。
そんな世界です。
繊細です。
壁なのに。
客室計画も悩ましいです。
1フロア6室を8室に増やしたい。
目標は約90室。
部屋数は欲しい。
売上も欲しい。
工事費は抑えたい。
人間なので全部欲しい。
ただ、部屋幅2.2メートルは狭い。
ホテルというより上品な押し入れです。
泊まるというより収納されます。
「ご宿泊」ではなく「ご収納」です。
2.5メートルくらいで再検討です。
窓も大事です。
窓のない客室は厳しい。
採光。
避難。
そして気分。
ホテルで窓がないと、かなり修行です。
今日の僕は階段で修行を済ませました。
エレベーターも課題です。
広げようとすると、昇降路、壁、スラブ。
また構造です。
逃げても構造。
戻っても構造。
こちらは松葉杖。
勝率は高くありません。
案件は簡単ではありません。
でも可能性はあります。
抜ける壁を見極める。
開口は慎重に。
行政、消防、保健所も確認する。
客室数で欲張りすぎない。
つまり、建物にも行政にも膝にも無理をさせないことです。
帰りは麻辣湯が食べたくなりました。
体は松葉杖。
頭は耐震壁。
胃袋は麻辣湯。
会社としては、あまり統一感がありません。
でも仕事は少し進みました。
たぶん。
今日も会社はあります。
また書きます。たぶん。